『読む技法-詩から法律まで、論理的に正しく理解する (中公新書 2883)』
https://m.media-amazon.com/images/I/71YFCS3Ux0L._SY425_.jpg https://www.amazon.co.jp/%E8%AA%AD%E3%82%80%E6%8A%80%E6%B3%95-%E8%A9%A9%E3%81%8B%E3%82%89%E6%B3%95%E5%BE%8B%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%80%81%E8%AB%96%E7%90%86%E7%9A%84%E3%81%AB%E6%AD%A3%E3%81%97%E3%81%8F%E7%90%86%E8%A7%A3%E3%81%99%E3%82%8B-%E4%B8%AD%E5%85%AC%E6%96%B0%E6%9B%B8-2883-%E4%BC%8A%E8%97%A4-%E6%B0%8F%E8%B2%B4/dp/412102883X
(著) 伊藤氏貴
ISBN:412102883X
(抜き書き 読書メモ)
はじめに
読む目標は他人の意図を正しく汲むこと
序 章 「読解力の教室」開講の目的と意義
あるテクストが読めるためには、書き手との間で何層もの前提を共有しなければならない
テクストを読んで違和感を覚えたら、一度立ち止まって依って立つ前提が異なっていないか疑うことが重要
比較断章法
書かれている文章の意味がわからない場合、必ず聖書のどこかに読み解く鍵がある
聖書は神によって書かれたものなので、書物群に矛盾は一切ないはず。
文学を「読む技法」の不足。実用と文学
第一講 自己解体としての読書 〈地平の融合〉
読む意義(読む=解釈する)
「地平の融合」
ハンス=ゲオルク・ガダマーの解釈学
自分の地平(枠組み、常識、先入観)を超えるテクストの地平(文章、背景)を受け入れることで自身の枠組みそのものが変容する事態
評論のポイント
1つの評論には1つの主張がある
その主張は想定される読者の常識に反する
自分の考えに執着せず、まずは他者に対して身を開いて構える
第二講 論理は書き手の意図を探るために 〈法的解釈〉
法解釈
用語に明確な定義がある
全体として体系的に整理されている
文理解釈
あくまで法令を文字どおりに受け取る解釈
論理解釈
立法の精神に鑑み、公平性や社会の秩序を保つために、文言そのものからは読み取れない行間を読む
拡大解釈、縮小解釈、変更解釈、反対解釈、類推解釈、もちろん解釈
まずは文言の正確な意味を理解する
その条文が法全体の体系の中でどのような位置を占めるのかを考え、それぞれの法令が制定された時代の背景を知る
第三講 読みの可能性を広げる〈精読・注釈〉
注釈をつける
他の読者に向かって、意味の膨らみの可能性を示唆する
語の一つひとつを精査し、注釈をつけるまで深く掘り下げる
テクストの持つ意味の可能性を最大限に広げる
第四講 同じテーマや同じ書き手を比較する〈テクストの横断〉
伝記的読解
作者にまつわる事実を補助線にする読み方
テクストは他のテクストとの関係性の網目の中で意味を生じさせる
テクストの横断例
同じテーマを扱うテクスト、同じ書き手によるテクスト
軸を持つことで選択するときの恣意は避ける
第五講 作者や歴史を超える思想〈構造主義〉
構造主義
表面的な差異を超えた共通構造を見出すのが構造分析という方法論
構造主義が人間の著作に当てはめられた場合、主体である作者や作品の置かれた歴史を捨象する思想
小説の構造=筋
ほとんどの小説は同一の構造を持つ
基本構造を踏まえて、そこにどのようなバリエーションが繰り広げられるか分析することによる楽しみ
第六講 語っている/聴いているのは誰?〈ナラトロジー〉
ナラトロジー
物語の題材・内容よりもその「語り方」に注目する方法(物語論)
同じ内容であっても、語り方によって全く異なる伝わり方をする
『物語のディスクール』(ジェラール・ジュネット)
時間
順序
後説法(出来事A←原因B)、先説法(出来事A→出来事B)
持続(スピード)
休止法(描写)、情景法(セリフ 語りと物語世界の時間の流れが同じ)、要約法、省略法
頻度
単記法(出来事を一度だけ語る)、反復的単記法、括復法(出来事を一度にまとめて語る)
叙法
語り手がどのように情報を加工しているかに関する分析(加工=取捨選択)
距離
再現、転記(間接話法)、物語化(語り手が内容をまとめて言い換える)
焦点化(=パースペクティブ)
焦点化ゼロ(神の視点で自由に語る)
内的焦点化(物語世界の特定の人物の内側に焦点が合う)、
外的焦点化(登場人物の内面に一切入りこまず、行動だけを描写する)
態
語りの時間
語っている時点と語られている内容との時間関係の分析
後置的(過去のことを語る)、前置的、同時的、挿入的(物語の合間に語る)
語りの水準
語り手と物語世界の関係を分析
物語世界外的(語り手が登場しない)、物語世界内的(登場人物の一人が語り手)、メタ物語世界的(劇中劇)
人称
等質物語世界的(語り手が登場人物と重なる)、異質物語世界的(語り手が物語の誰とも重ならない)
「言語行為論」(ジョン・L・オースティン)
ある言説を、単なる事実の言明でなく、なんらかの行為遂行と捉える見方
すべての発話は行為である
言説の内容を「誰が、誰に向けて、どのような状況で」というナラトロジーによる分析と組み合わせることで、その言説が誰をどのように動かそうとしているのかという意図を組むことができる
第七講 味読のための堂々めぐり〈解釈学的循環〉
解釈学的循環
全体の理解は部分の理解に依存し、部分の理解は全体の理解に依存する
繰り返し読むことの効果
あとがき
SNSの揚げ足取り
実用的文章の一義的な意味だけを重視するような風潮
あふれる情報の中で時間に追われ、なおかつプレゼン能力が重視される昨今、読むという行為が疎かになっていないだろうか。
本来、書き手の意図を正しく汲み取れて、初めて議論や思索は成り立つのに。本書は解釈学、構造主義、ナラトロジーなど、西欧で発展した読む技法を紹介。
詩、小説から評論、法律まで多様なテクストを例示し、技法を応用して読み解く。
より深い読解力を身につけたい読者のための、実践的な入門書。
はじめに 「読めたつもり」の危うさ
序 章 「読解力の教室」開講の目的と意義
読解力とは何か/さまざまなレベルの暗黙知/暗黙知を自覚する/前提としての文化的コンテクスト/日本語と「論理」/西洋で発展した読む技法/速読・多読は役に立つのか/文学はむしろ実用的
第一講 自己解体としての読書 〈地平の融合〉-- 村上陽一郎「自己の解体と変革」を読む
「読む」意義はどのように変容してきたか/地平の融合/評論の基本構造/結論を先に押さえる/村上陽一郎「自己の解体と変革」を読む/文章から骨組みを抜き出す/「喜ばしき学問」とは/まとめと発展
第二講 論理は書き手の意図を探るために 〈法的解釈〉-- 日本国憲法を読む 法解釈の理論はなぜ役立つのか/法令用語ならではの特徴/法令の「及び」「並びに」「かつ」はどう違うのか/法体系の構造化/文理解釈と論理解釈/論理解釈の種類/同性婚に関する法廷の憲法解釈/まとめと発展
第三講 読みの可能性を広げる〈精読・注釈〉--岡倉天心『茶の本』を読む 「馬鹿」は罵倒のことばなのか/注釈をつけながら読む/1 文彩(レトリック)/2 アイロニー/3 引用/4 時代状況/5 土地の刻印/まとめと発展
第四講 同じテーマや同じ書き手を比較する〈テクストの横断〉-- 佐藤春夫「愚者の死」と与謝野鉄幹「誠之助の死」を読む
テクスト論の現在/同じテーマをめぐるテクスト1 「愚者の死」/同じテーマをめぐるテクスト2「誠之助の死」/伝記的読解/書き手の意図に辿りつくために/同じ書き手によるテクスト1「レーダーホーゼン」/同じ書き手によるテクスト2「風の歌を聴け」/まとめと発展
第五講 作者や歴史を超える思想〈構造主義〉--芥川龍之介「蜜柑」と梶井基次郎「檸檬」を読む
ソシュールの一般言語学/構造主義と文学/小説の構造=筋/共通構造を抽出する/「構造」の意義/色彩の物語としての「蜜柑」/「蜜柑」に秘められた複雑な構造/「檸檬」の文学性/まとめと発展
第六講 語っている/聴いているのは誰?〈ナラトロジー〉--芥川龍之介「藪の中」を読む
ナラトロジーとは何か/1 時間/2 叙法/3 態/オースティンの言語行為論/芥川最大の「問題」作/比較断章法 藪の中の論点整理/解消されない齟齬/ナラトロジー 藪の中へ/「藪の中」のリアリズム/傍証としての言語行為論/傍証としての伝記的読解/まとめと発展
第七講 味読のための堂々めぐり〈解釈学的循環〉--神吉拓郎「ブラックバス」を読む 「循環」と呼ばれる理由/なぜ繰り返し読む必要があるのか/深く読むために通る道/神吉拓郎「ブラックバス」を読む/「ブラックバス」のミステリ構造/タイトルの意味/まとめと発展
最終講 声なき声に耳を澄ます--宇野邦一『反歴史論』を読む
難解なテクストに挑戦する/中島敦「文字禍」の注釈/問題を正確に捉える/主張を先取りする/歴史と歴史学/歴史と記憶/闘争の場としての歴史学/歴史と自由/ナポレオンをめぐって/歴史の喜びと苦しみと重さと/まとめと発展
おわり
#書籍名